りんご年間作業スケジュール

農家をしているとたくさんの方から

「りんご農家って何をしているの?」

「りんご農家はいつが忙しいの?」

とよく聞かれます。ここではりんご農家がどんな仕事をしているのかをご紹介します。

整枝剪定(1月下旬~4月上旬、遅くとも開花前までに)

余分な枝を切り落とし、りんごの樹をバランスのよい形に整える作業です。

品種毎の特徴、樹勢、陽当たり、風通し等を考慮して枝を剪定していきます。

また、必要によっては、ロープなどで伸びるべき方向に誘引してあげます。

【ポイント】

病害虫防除・りんごの味・安定した収穫量などに直結するりんご栽培の要となる作業です。農家の技術や経験、こだわりが樹にあらわれる、まさに「職人技」と言える重要作業です。

SS(スピードスプレイヤー)での農薬散布(4月上旬~9月末)

りんごの樹は、常に病気の感染リスクや害虫の食害リスクなどにさらされています。

そうした被害を防ぎ、美味しいりんごを採るために、当農園では独自の防除暦に基づいて必要最低限の農薬散布を行っています。

農家の心強い味方はSSという農薬散布車。強い風により樹全体に水に溶かしこんだ薬剤を噴射散布します。

草刈り(4月~10月)

畑に生える草は病害虫の温床になるため、こまめに刈ります。草刈りは基本的にゴーカートの様な乗用草刈り機で行い、その他根元周りや支柱周りの細かい所は刈り払い機でおこないます。当農園では、環境への配慮から除草剤は一切使用しておりません。

摘花(4月下旬〜5月上旬)

りんごは4月下旬~5月上旬にかけて淡くピンクがかった白い花を一斉に咲かせます。

摘花とは文字通りその花を摘む作業です。樹は花を咲かせるために前年に枝に蓄えた貯蔵養分を使っているため、必要な花だけに栄養が集まるように、余分な花を摘んでいきます。

なお、収量に直結するためこの時期の降霜・低温には特に気を遣います。

結実確保(4月下旬~5月上旬)

りんごは自家不和合性という特徴があり、同じ品種の花粉では受粉しないため、必ずほかの品種の花粉を受粉することで実をならせます。当農園では、ハチを利用して受粉を手伝ってもらっています。

摘果(5月下旬~7月)

文字通り結実した実を摘む作業です。

花摘みをしない房には5~6個の実がなるので、樹や枝の状況をみながら1つの果実を残して他の実を落とします。

りんごは、真ん中に大きな花が咲き(「中心花」ちゅうしんか)、その周りに4つの花が咲いて(「側花」そっか)、この5つの花で1セットになっています。

それぞれの花が受粉結実したものを、「中心果」(ちゅうしんか)、「側果」(そっか)と言います。

摘果作業は何巡かかけておこないます。

実を多くならせすぎると、実ひとつあたりの栄養が少なくなり、果実の肥大が進みません。そればかりか、樹が弱ってしまい、翌年の花の数が激減してしまいます。そこで、大きなりんごを作るために、適切な着果数に制限して、余分なものを摘み取ります。

あら摘果(~6月末)

確実に「成らせない」ものを摘みます。

具体的には、

・基本的に側果は全部落として、中心果のみを残していきます。

・昨年新しく伸びた枝に着いたものは全て落とします。

・枝の真下や真上も実を成らせないので全て落とします。

一巡目を早く終わらせることが、樹の養分を浪費しないことになり、その年はもちろん、翌年の収穫にも影響してきます。

 仕上げ摘果(7月~8月)

一回目で残した果実からさらに間引いていきます。

形、虫食い、生育の悪いもの、成っている場所、果実同士の間隔、などを考えて摘みます。

夏剪定(8月)

枝の成長は7月には止まります。

成長が止まった後は枝を切っても樹に与えるダメージが少ないので、風通しや陽当たりを遮る程に伸びた余分な枝を切り落とします。

病害虫の温床になるのを防ぐと共に、りんごの着色を良くするために行います。

支柱立て・誘引(7月~9月)

枝を支柱で下から持ち上げることで、よく陽が入って、下の枝や奥の枝の果実も着色するようにします。また支柱立てには枝がりんごの重みで折れてしまうことを防ぐ目的もあります。細い枝であればロープなどで吊り上げて、全体的に垂れ下がるのを防ぎます。

着色管理(8月~10月)

鮮やかな色のりんごを作るためのこだわりの作業です。

・葉摘み

果実面によく陽が当たり、綺麗に色が入るように、果実に直接触れている葉や日光のさまたげになる葉を摘み取ります。

・玉回し

枝に触れていたり一方向からしか光が届かない果実は、全体に色が入るように、果実を回して向きを変えます。

収穫

りんごは品種により収穫期が異なるため、タイミングをずらして収穫していきます。

早生種 シナノリップ、つがる など    8月中旬〜9月中旬

中生種 紅玉、秋映、シナノゴールド など 9月中旬~10月下旬

晩生種 ふじ               11月中旬~雪が降る前までに

りんごは、同じ品種、同じ樹でも熟度の差が大きいので、2~3回に分けて収穫します。

りんごは雪が降ると内部から凍ってしまうので、雪が降る前までには収穫を完了させます。一つ一つ丁寧に手でもぎ取り、大きさや着色の程度、キズの有無などチェックをして分別し、倉庫や冷蔵庫に貯蔵します。

選果(全品種)

大きさ、色合い、形、病虫害の有無や程度等で生食用と加工用に選別し、生食用はサイズ別にコンテナーを分けて保管します。

出荷

果実の品質のチェックを行いながら、ひとつひとつ丁寧に荷をつくります。

ここでは大まかな作業内容とスケジュールをご紹介しました。

日々の作業状況については、当農園SNSでも発信しておりますので、ぜひそちらもご覧ください!

住所・アクセス

関農園
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